公職選挙法を正確に知る国民、市民は少ないです。知ってか知らずかはわかりませんが、候補者の中にも、違法性を疑われることをする人々がいます。
公職選挙法は、事前運動を禁止しています。
「選挙の時だけ出てきやがって」
といった趣旨の話をされる方がいらっしゃいます。しかし、事前運動は禁止なので、告示日以前に選挙運動はできません。選挙運動と政治活動は違うのですが、政治活動中、
「次の××選挙、よろしくお願いします」
などと口を滑らせただけでも事前運動になり、違法です。
私の場合、選挙に出るかどうか質問されるリスクについて、細心の注意を払いながら、告示日まで過ごしました。非常にお世話になっている方、草津市や市議会議員について様々なことを教えてくださる方、子供の頃からの友達。黙っていて申し訳ありませんでした。あまりにも堅物で融通が効かないと思われるかもしれません。私人としての私は、面白味のない人間ではないのですが、公人又は公人を目指す立場としては、譲れない一線です。
さて、私は、(ほぼ)事前運動(と思われる事態)に遭遇したことがあります。ある選挙の告示日より前、現職の議員(当時、その後引退)が私の家を訪れてきました。話を聞くと、選挙違反が成立してしまう確率が高いので、忙しいと言って断りました(実際、料理中で忙しかったことを覚えています)。
事前運動+戸別訪問です。
いずれも違法です。
次に、ポスター、選挙カー、ビラを使わない私に、せめて、看板だけでも用意すればいいとおっしゃる方もいます。しかし、それもできません。選挙運動で使用できる図画にも様々な規制があります。厳密に言えば違法なのに、実際は摘発されないグレーゾーンとも言うべきものがあります。それが、旗や看板の街頭での使用です。車や船舶に旗を立てるのは合法です。それ以外の方法で、候補者や支持者が、街頭演説に必要な標旗以外の文字の書かれたものを持ったり立てたりするのは違法です。とはいえ、実際には、よく見る光景です。
車で隊列を組んで、気勢を張る行為も禁止です。東京都のイラストでは、車三台が並んでいますが、三台連ねて往来している陣営もあります。
任期満了の6か月前からは、個人の政治活動用ポスターは掲示禁止です。ただし、政党等のポスターは合法です。政党に所属する政治家にだけ有利な制度です。特定の個人名を目立たせることは禁止ですが、たいていの場合、ポスターをご覧になった方は、その人物が次の選挙に出るとわかる作りになっています。
他にも、色々と突っ込み所満載の公職選挙法ですが、今回は、よく見る事例について、簡単に解説しました。この法律を根本的に改正しないかぎり、政党のための政治、そして、世襲かタレントしか若くして政治家になれないという候補者の劣化が続きます。悪法であり、ザル法であっても、厳格に守ろうとする私のような候補者がバカを見ない公職選挙法の改正を期待します。